カリスマ脚本家も絶賛
ヒョンビンとソン・ヘギョは、劇中ではテレビ局のドラマ監督と作家で、さらに恋人同士の役を演じた。一見華麗に見えるが、2人とも深い心の傷を負っていて、その傷によって互いにコンプレックスを感じていた。
そんな状況でも、2人は仕事と恋を共にしなければならない。まさしく、単純な恋物語でもなく、よくある職場の出来事でもなく、立体的なキャラクターが交差する繊細で複雑なドラマだった。
その主役を担うには、短時間の準備や並みの演技力では難しい。ヒョンビンにはそれを演じられるだけの能力が備えられていたが、ソン・へギョはまだそこに至らなかった。
当然、放送して間もないときは2人の息が合わず、見ている人もハラハラしていた。しかし、徐々に2人の関係が完成されていったのには、ヒョンビンの力が大きかった。もちろん、ソン・へギョも努力しただろうが、ヒョンビンの演技が彼女に集中できる機会とエネルギーを与えたのである。
ヒョンビン自らも『彼らが生きる世界』を通じて自分が一層発展したことを感じた。視聴率がひとケタだと俳優はどうしても気落ちしてしまうが、撮影現場でのヒョンビンはいつも積極的だった。彼は放送後、「いい先生と学友に巡り会い、二度と聞けない授業を受けて、学生に戻った気分だった」と語っていた。
シナリオを書いた脚本家のノ・ヒギョンもこう語る。
「ヒョンビンという俳優の可能性を信じた。彼の演技に120%満足する」
それほどヒョンビンは自分の役を見事に演じた。
そういう意味でも、『彼らが生きる世界』というドラマは、ヒョンビンがようやく『私の名前はキム・サムスン』の影から抜け出せた作品であったとも言える。(ページ3に続く)