女優としての一つの到達点
1993年にドラマ『お宅の夫はいかがですか』で女優としてデビュー。1996年には、ペ・ヨンジュンとドラマ『パパ』で共演し、しっかりと自分のポジションを固めていった。
しかし、彼女には常に負い目があった。
CMタレントとして得た名声が常に先行していることが心に引っかかっていた。それでも出演依頼は多く、1996年には大作の『インシャラ』で映画デビューを果たしたのだが、興行的に失敗し、イ・ヨンエは深い痛手を受けた。
テレビから映画へステップアップするはずが、わずか一作で「映画の主役は無理」という烙印を押されてしまった。
以後、イ・ヨンエは再びテレビドラマに活路を見いだしていく。
なにごとにも集中するタイプの彼女は、与えられた役に全精力を傾けて自分なりの新境地を開こうと努力した。
その一つの到達点が、2000年のドラマ『火花』だった。
清楚な印象が強かったイ・ヨンエは、『火花』ではまるで別なイメージを付け加えることに成功した。「婚約式の直前に別の男性と激しい愛に陥る女性」という特異な役を演じたのだが、タイトルのように火花が散るような演技を随所に見せて、完璧な女優に脱皮したことを印象づけた。(ページ3に続く)