たとえば「キャンディ・キス」
日本だったら、絶対に撮り直す。そうしなければ、女優がカンカンに怒るだろう。しかし、韓国では女優が気にしていない。むしろ、「迫真の演技ね」と思っているのかもしれない。
具体的な場面でビックリしたのは、ドラマ『アイリス』でのキム・テヒだ。
彼女はスンヒという国家安全局の職員を演じていて、部下にあたるヒョンジュンと秋田でのプライベート旅行を楽しむという場面があった。
このヒョンジュンを演じていたのがイ・ビョンホンだ。
秋田のロケでは、イ・ビョンホンとキム・テヒのキスシーンがあった。これは韓国でも後に「キャンディ・キス」として評判になった。
なぜ、「キャンディ・キス」と呼ばれたのか。
イ・ビョンホンが最初に口の中でなめていたキャンディを、キスのときにキム・テヒの口の中に移したのである。その瞬間、キム・テヒは目をクリクリッとさせた。実に愛らしい表情だった。
ただし、日本的に考えてしまう。いくら撮影とはいえ、男優が口の中でなめていたキャンディを、女優が躊躇なく自分の口の中に入れるだろうか、と。
韓国だからこそ、「キャンディ・キス」の撮影が可能になったのではないのか。(ページ3に続く)