兵役という重圧
苦肉の策として兵務庁が始めたのが「密告の奨励」である。具体的にいうと、申告センターの創設だ。
それによって、国民から兵役のがれに関する情報提供を呼び掛けている。
しかも、その情報が有益だった場合は報奨金を出す制度を設けていて、報奨金の予算を毎年増やしているほどだ。
それは、いったい何を物語っているのだろうか。
確かに兵役は韓国の男子全員に課せられた義務であり、それを意図的に回避しようとするのは、脱税と同じような犯罪と言えるかもしれない。しかし、国民の義務を果たすべき兵役が、まるで踏み絵のように扱われているというのが韓国社会の現状である。
一方の日本。徴兵制がないためにそういった兵役の問題が起こらないのは当然だ。自衛隊はあくまでも志願兵によって成り立っていて、兵役とは別の形での軍事組織になっている。
逆に韓国は、分断国家として北朝鮮と激しく対峙している状態であり、兵役をなくすことはできない。
とはいえ、誰もが屈強なからだに生まれて徴兵制の義務を完璧にこなせるわけではない。そういう身体的な問題の他にも、本人でなければ一家の家計を支えきれないという家庭内の問題もある。
スポーツ選手であれば、現役の最盛期に軍隊に行かなければならない。それは、果たしてどれほどのマイナスになるのか。
また、芸能人は人気絶頂なときに兵役に行かなければいけないとすれば、その精神的な重圧は相当なものだろう。(ページ4に続く)