社会制度の中で日本になくて韓国にあるもの。様々な制度が思い浮かぶが、最たるものが徴兵制だろう。徴兵期間は陸軍の場合で21カ月。韓国男子は兵役法によって徴兵の義務を負わされている。しかし、意図的に兵役をのがれようとする人たちも確実にいる。
公職者と直系子孫の兵役問題
意図的な兵役のがれは、特に特権階級や富裕層に多かった。そこで、1999年には「公職者等の兵役事項の申告および公開に関する法律」が制定されている。
その公職者に該当するのは以下の人たちである。
1.政務職公務員(大統領、国会議員、長官・次官級など)
2.一般的な公務員など(等級が4級以上)
3.現役軍人(階級が大領〔大佐〕以上)
4.教育公務員
5.地方自治団体の長と地方議会の議員
上記の公職者と直系子孫は兵役義務をどのように果たしたかが詳細に調べられて公開される。
しかし、現実には公職者と直系子孫の兵役免除率は一般人よりはるかに高くなっている。この場合、兵役免除の根拠として多く挙がるのが「韓国国籍の離脱」である。特にアメリカ国籍の取得が圧倒的に多くなっている。いかにも、特権階級ならば容易に操作できそうな兵役免除理由である。
こうした状況を受けて、「2014年版国防白書」も次のように記述している。
「兵役事項公開制度を導入して公職者本人と直系子孫の兵役事項を公開し、国民の知る権利に応え、兵役履行の透明性と信頼性を高めている。しかしながら、いまだに高位公職者とその直系子孫、芸能人、スポーツ選手など社会的に関心を集める人たちの兵役義務履行実態に対する不信感が残っている。これを解決するために、社会的に関心を集める人たちの兵役事項集中管理の制度を導入する法案の制定を推進している」(ページ2に続く)