飛行機の中で言われた一言
言葉使いはていねいだが、目がまったく笑っていない。「お客様は神様です」と思っていないどころか、「このお客は何者?」という表情が垣間見えてしまう。一応、表面的には丁寧なのだが、心がまったく伴っていないのである。
しかし、彼女たちに責任があるとは思えない。韓国の女性はもともと接客に不向きなのである。たとえ仕事とはいえ、見ず知らずの人に底抜けの笑顔で対応することに慣れていない。これはもう国民性としか言いようがないのだ。
1392年から1910年まで続いた朝鮮王朝時代は、儒教の価値観が強く浸透していて、男尊女卑が徹底されていた。この当時、女性は低い身分に置かれながら必死に生きてきた。愛想よくなどしていられなかったのだ。その風潮が今も残っているのではないかと思えるのだが……。
さらに、接客がいい場所としてパッと思い浮かぶのは、デパートの他には飛行機の中である。特に、キャビンアテンダントは接客のプロと言われている。
ただし、韓国の場合は見事なくらいに先入観を覆してくれる。
韓国の飛行機に乗ったときのことである。缶ビールのお代わりを注文したら、きつい調子で言われてしまった。
「3つ目ですよ。これで終わりです」
さすがに私も3つ目で終わりにしようと思っていた。しかし、あからさまに言われてしまうと、立つ瀬がない。酔いがいっぺんにさめてしまった。(ページ3に続く)