第20回 酒の飲み方
ビール党は少なかった
韓国で酒といえば、焼酎である。
10年ほど前、地方をまわっていて食堂に入ると、私(康熙奉〔カン・ヒボン〕)を除いてみんな焼酎を飲んでいる、ということがよくあった。
私はビールを頼むのだが、食堂に置いていないこともあったりして、店のアジュンマ(おばさん)があわてて外に買いに行っていた。それほど、地方の食堂でビールを飲むというのはポピュラーではなかったのだ。今では、ビールを飲む人が少しずつ増えてきているようだが……。
まだ貧しかった1960年代を描いた韓国ドラマを見ていると、出てくる男たちはこぞってマッコリを飲んでいる。当時は「酒といえばマッコリ」だったことが、ドラマを通してわかってくる。
ただし、今、ソウルでマッコリを飲んでいる人はあまり見かけない。「マッコリは貧しかった時代の安酒」というイメージがあるせいか、見栄っ張りの韓国人はマッコリなど眼中にない様子で焼酎ばかり飲んでいる。
その飲み方にもしきたりがある。お湯や水で割らない、継ぎ足しはしない、女性はお酌をしない……などである。(ページ2に続く)