芸能界はビジネスライク
康「100というジャンルがあったら、そのうちの10か20は日本に追いついた部分はあるでしょう。しかし、総合的に見ると韓国の場合は、まだまだ日本より発展途上の部分が多いと思いますね」
慎「『目指しているのは日本じゃない、世界だ』という風になってきているのは感じますが……」
康「なるほど。ただ、中国との関係がこれだけ強くなってくると、当然ながら日本に対する見方も変わるわけでしょ。今まで100%日本だったものが、今は中国のほうをかなり見なきゃいけないし、経済的には完全に中国経済圏みたいな形で組み込まれています」
慎「それは、スポーツの世界でもエンタテインメントの世界でもそうです」
康「中国が風邪をひいたら本当にえらいことになる、みたいなね。韓流でも完全に中国を意識しすぎている。今人気の『太陽の末裔』だって中国と同時放送らしい。歴史的に見て朝鮮半島は中国にすごく影響されてきたけど、地政学でも中国大陸の隣にあるわけだから、そういう流れになってしまうのは仕方がありませんね。ただ、中国の影響が強すぎるゆえに、日本を詳しく知っている人がだいぶ少なくなってきたという印象があります」
慎「そうですね」
康「新聞の論調を見ていても歴史を知らないというか。たとえば、植民地以後の日本と韓国の関係をあまり知らない記者が書いている記事は、『韓国が日本の助けを得ずにこれだけ経済成長した』というような内容だけど、それはどうなのかなと思いますね。まあ、韓国は日本、中国、ロシアという大国に囲まれているという非常に難しい立ち位置にいるわけです。それなりに外交に気を配ってやっていると思いますが……。ところで、最近、韓国に行って印象的な場面とかびっくりしたと思う場面はないですか」
慎「韓国は変化するスピードが速いけれど、流行のトレンドなんかは、僕が日本で流行に疎いからなのか、ソウルに行って知ることが本当に多いですよ。日本でキャッチできないものを韓国に行ってキャッチするという逆転現象がいっぱいありますよ」
康「韓国人は好奇心旺盛ですよね」
慎「そうですね」
康「隣の人間の隅々まで知りたいというような好奇心がすごいから、初対面でもいろいろと根掘り葉掘り聞かれるでしょ」
慎「最近はそれがないですね。それも変わったところじゃないですか。昔は、『何年生まれ?』とか『何しに来たの?』とか」
康「『家族はどうだ?』とか『親は何をやっている?』とか」
慎「でも、最近のエンタメ業界の人たちは、ビジネスとしての付き合いという感じで、あまり踏み込んでこないですね」
康「割とビジネスライクというか」
慎「芸能界というか、K-POPはそんな感じですね」
康「いわゆる韓国的じゃないんですね。逆にそういうやり方が成功したのかもしれませんね」
(次回に続く)