対談「最近の韓国はどうなっているか」(康熙奉・慎武宏1)

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記者の技術力が高い

慎「昔の記者たちは、新聞記者であることに対する誇りや自信がすごく強かったですね」

康「韓国の新聞を読んでいると、記者が特権階級なんですよね」

慎「そういう見方もできると思います」

康「言論の重さと言うべきか」

慎「それも自覚してやっている人が多かったです。選手や取材対象に対してしっかりと食い込むというか、試合で負けたりすると厳しく批判もします。そういうようなジャーナリズム魂がすごく強かったとするならば、今の記者の子たちは、いい面でいうと原稿を書くのがとても速いです」

康「ネットに速くあげるための競争でしょ」

慎「そうですけど、記者としてのテクニカルな部分の訓練がすごいです。高校、大学の間にインターネットなどに携わり、自然と身につけられていると思います。キーボードを打つのも本当にもうリアル中継ですよ。取材対象者が喋り終わったらもう記事になっているというくらいのタイミングです。そういうテクニカルな部分がすごく高いです。瞬発力もあります。ただ、ネットメディアが中心になってしまったがゆえの弊害もあります。消費される記事が多くなっているんです。また、センセーショナリズム優先になってきている部分があるので、そこに追われて記者自体がちょっと消耗品になりつつありますね」




康「韓国の記者の取材力はどうなんですか?」

慎「高いと思いますけどね」

康「対象の選手に密着して、飯食った、電話で何喋った、みたいな話も記事の中に結構出てくるじゃないですか」

慎「そうですね。直接電話をできるからいい記者だということとは違うでしょうけど、選手とメディアの関係というものが、韓国も日本みたいになってきていると思います」

康「どういうことですか?」

慎「たとえば、昔はミックスゾーンなんか韓国にはなかったんですよ。そういう中でどうやって選手のコメントを取るかというと、選手の宿舎の部屋に行ったりするんです。僕は最初のころはそれにびっくりしました。今はそういうことをやりつつも、ミックスゾーンが2002年前後から設けられて、選手たちもそこで喋らなければいけないと思うようになったんです。昔は試合に負けると喋らないでそのままバスに乗っちゃうんですよ。記者の前にも出て来ないし……」

康「当時は記者泣かせですね」

慎「記事にならないですからね。それでも何とかしなければいけないから、記者は必死でした。今の選手たちは、Kリーグでも代表戦でもミックスゾーンがちゃんと作られているので、そこを通過してしっかり喋るという義務が出てきています。喋らなかったら喋らないなりに『韓国の若い選手は無言で通り過ぎた』とか書きますからね。そういう面では、取材する側とされる側の双方が、18年くらい前とは共通点がまったくないくらい違ってきました」

(次回に続く)

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