『テバク』歴史解説!鍵を握る男 李麟佐の正体

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「反逆者」として名を残した大元帥・李麟佐

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『テバク』成功の鍵を握る李麟佐

英祖の寛大な処置を受けても、景宗派の人間は納得することができなかった。一度は、政権を握ったのだから、その気持ちが生まれるのも当然だろう。

そうした景宗派の負の感情を利用したのが李麟佐である。彼は、「景宗の死は英祖派の陰謀である」という大義名分を掲げると、景宗派の人間たちをまとめあげた。

李麟佐の行動は迅速だった。彼は自らを「大元帥」と名乗ると、棺桶の中に武器を隠して北方にある城に何食わぬ顔で潜入。英祖派の重鎮たちを次々と殺害して、城の1つを占拠してしまったのだ。

さらに、李麟佐は英祖の不当性を声高に叫びながら、16代王・仁祖(インジョ)の長男でありながら、王位を継ぐことなく亡くなった昭顕(ソヒョン)のひ孫を新たな王に擁立して、本格的なクーデターを起こすのだった。




李麟佐は北方を手中に収めると、首都である漢陽(ハニャン)に進軍を始める。しかし、躍進もここまでだった。

李麟佐が率いた反乱軍は、英祖が組織した鎮圧軍の前にあっけなく敗北してしまった。首謀者である李麟佐は、「大罪人」として大勢の民衆の前で残酷に殺される。

この戦いで景宗派の影響力は薄れて、英祖の治世は安定し始める。政権転覆をはかったクーデターが結果として、英祖の政治の助けになるとは、なんとも皮肉なことだ……。

敗北した李麟佐は「反逆者」として後世に名を残した。しかし、計画立案から行動までの迅速さや、同志を扇動する手腕は確かなカリスマ性を感じさせる。

演技派として知られるチョン・グァンリョルは『テバク』で、失墜したカリスマ李麟佐をどう演じるのか。実に楽しみだ。

(文=慎 虎俊)

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