朝鮮王朝の3大悪女
朝鮮王朝には儒教思想が浸透していて、その中で女性は男尊女卑の扱いを受け、低い身分に甘んじなければならなかった。だからこそ、自分の才覚や立場を利用して成り上がろうとした女性がたくさんいたのである。
たとえば、“朝鮮王朝の3大悪女”と呼ばれる3人がいる。
史上最悪の暴君として有名な10代王・燕山君(ヨンサングン)をそそのかして贅沢三昧をした側室の張緑水(チャン・ノクス)、11代王・中宗(チュンジョン)の三番目の正室だった文定王后(ムンジョンワンフ)の手先として働いた鄭蘭貞(チョン・ナンジョン)、そして一介の女官から王妃にまで登りつめた張禧嬪(チャン・ヒビン)。この3人か“朝鮮王朝の3大悪女”と言われている。
彼女たちは確かに悪事を働いたが、あくまで自分の欲望を叶える手段として行なったわけで、悪女としてのスケールはそんなに大きくない。
たとえば、張禧嬪は一番の悪女と言われているが、果たして実際はどうだったのか。
張禧嬪の人生はドラマチックだった。19代王・粛宗(スクチョン)は、自分の正室だった仁顕(イニョン)王后を離縁してまで張禧嬪を王妃の座に登らせた。しかも、王の息子を産んでいたので、王の母になれる可能性もあった。
ただ、後に王妃の座から転落して、最後は仁顕王妃を呪い殺そうとした罪を問われて死罪になる。こんなに波瀾万丈な人生を歩んだ女性は他にいない。何度もドラマや映画の主人公になっていて、韓国時代劇を作る人のあいだでは『困ったら張禧嬪を出せ』と言うくらい、無敵なキャラクターと言える。(ページ3に続く)