厳しく自分を戒める
ペ・ヨンジュンが書いた『韓国の美をたどる旅』は何度読んでも珠玉の文章に出会える本だが、その中でペ・ヨンジュンの決意が最も端的に表現されているのが次の文章だ。
「人から見ると、私は本当に豊かで人気も名誉もあると思うかもしれないが、私はそれを手にしたと思った瞬間、死ぬのだと、いつも自分に繰り返し言い聞かせている」
この文章に込められた壮絶な決意は、ひとりの人間がどこまで孤高になりきることができるのか、という根本的な問題を提起している。
特に、「死ぬのだ」「いつも」「繰り返し」「言い聞かせている」という言葉の持つ迫力に胸を突かれる。
韓国の人は「死ぬ」という表現をよく使う。たとえば、「疲れて死にそうだ」という言葉は誰もがすぐに口にする常套句だ。あるいは、相手に対して「お前、死にたいのか」とおどすような表現もよくある。
このように、「死ぬ」という言葉が韓国でひんぱんに出てくることをよく承知しているが、ペ・ヨンジュンが語った「死ぬのだと自分に言い聞かせている」という決意は生半可なものではない。
なにしろ、彼は「うぬぼれただけで死に値する」と強調しているのだ。どれだけ自分を戒めていることか。
そんなペ・ヨンジュンが俳優として演技をしなくても、この先、生きていくことができるのだろうか。(ページ3に続く)